2022年3月議会 代表質問 高齢福祉政策について

西垣
西垣

続いて、福祉政策として、今回は高齢福祉に絞って市長のお考えを確認させていただきたいと思います。
我が国の65歳以上人口は、昭和25年には総人口の5%に満たなかったのですが、昭和45年には7%を超え、さらに平成6年には14%を超えています。高齢化率は、その後も上昇を続け、令和元年で28.4%にまで上昇しました。さらに今後は、日本の世代別人口において最もボリュームがあるとされる、いわゆる団塊の世代の方々が後期高齢者と呼ばれる75歳以上に到達し、さらなる超高齢社会を迎えることになるのが2025年であり、その時点で総人口に占める高齢者の割合は30%を超え、約3人に1人が65歳以上の高齢者の方が占める一方で、日本の総人口は2010年を境に減少を始めていることから、現役世代が高齢者世代を支える介護、医療の維持、継続が懸念されており、これを持続可能なサービスとするための根本的な改革が必要とされています。これを一般的に2025年問題と呼んでおり、こうした問題に対応するため、国においては、団塊の世代の方々が75歳以上となっても安心して暮らせる社会を目指し、2025年をめどに重度な要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを最期まで続けることができるよう、医療・介護・予防・生活支援・住まいが一体的に提供される地域包括ケアシステムを中心とした高齢者支援体制の充実に向けて構築を進めていただいているところであります。
こうした2025年問題を目前に控えた現在、また、最近では団塊ジュニア世代が65歳以上になることで高齢者人口が最大となる2040年問題も取り沙汰されておりますが、この問題の取組状況と今後の取組方についてお伺いしておきたいと思います。
以上、子育て、教育、高齢福祉の今後について市長にお伺いをします。

市長
市長

高齢者福祉施策についての御質問にお答えいたします。
我が国は世界でも類を見ないスピードで高齢化が進行し、議員御案内のとおり、いわゆる団塊の世代が全て75歳以上となる2025年には、65歳以上の高齢者の総人口に占める割合が30%に達することが予測されており、本市もその例外ではありません。
そのため、今後、増加が見込まれる医療、介護のニーズに対応しつつ、高齢者ができる限り住み慣れた地域で安心して暮らし続けることができるよう、医療・介護・予防・生活支援・住まいを一体的に提供する地域包括ケアシステムのさらなる推進が喫緊の課題であると認識しています。
最初に、これまでの取組状況でございます。
本市では、岐阜市高齢者福祉計画に基づいて高齢者福祉施策を推進しておりますが、現在、特に力を入れて取り組んでいるのは、認知症高齢者やその家族への支援及び独り暮らし高齢者等の支援であります。
2025年には高齢者の5人に1人が認知症になると推計されており、本市では、国がまとめた認知症施策推進大綱に基づき認知症対策を推進しております。具体的には、認知症への理解を深めるための普及啓発として、認知症サポーター養成講座の実施、認知症の状況に応じた適切な医療、介護につなぐ認知症初期集中支援チームの設置、認知症の方や家族への支援として認知症カフェの開催のほか、令和2年度からは認知症による行方不明者を早期発見・保護するための見守りシール交付事業、認知症の人が日常生活で起こしてしまった事故により賠償責任を負った場合に、保険金の支払いを受けることができる個人賠償責任保険事業を実施しています。
また、近年、独り暮らし高齢者や高齢者のみの世帯の増加により、地域社会からの孤立が懸念されており、見守り支援体制の整備が急務となっています。現在、その中心を担っているのが市内19か所に設置している地域包括支援センターであり、機能強化型地域包括支援センターによる後方支援や福祉相談窓口連携会議による関係機関との連携強化により、センターの機能強化に努めてまいりました。
私は、昨年9月に地域包括支援センターの職員と意見交換を行いましたが、高齢者の見守り支援をはじめ、8050問題など、複雑化、複合化した課題に向き合う地域包括支援センターの役割や重要性を再認識した次第であります。
また、配食による安否確認や緊急通報システム、安否確認サービスのほか、愛の一声運動推進員の設置などを行っており、そうしたサービスや身近な相談窓口などを分かりやすく紹介する、ひとり暮らし高齢者ガイドブックを令和2年度から発行しています。
一方、地域包括ケアシステムは、地域の自主性や主体性に基づいて、地域の特性に応じてつくり上げていく必要があります。本市では、日常生活圏域協議体を地域包括支援センターの地区単位で設置し、自治会、民生委員、老人クラブ、社協支部など、地域における様々な人たちが集い、地域課題を抽出して、自分たちでできることを確認しながら地域で支え合う仕組みづくりを進めています。その結果、高齢者の集いの場づくりや移動販売車などを誘致する買物支援など、地域の実情に応じた取組が進められています。
次に、今後の取組でございます。
2025年の超高齢社会を見据えて、元気で自立した日常生活を送れる健康寿命の延伸に向け、生活習慣病の重症化予防やフレイル予防の取組を進めるため、来年度から高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施事業を実施してまいります。国保データベースシステムの健診、医療、介護のデータを活用して高齢者の健康課題を分析するとともに、支援が必要な人を抽出して個別に保健指導を行うほか、通いの場等においてフレイル予防のための健康相談、健康教育を実施してまいります。
また、介護人材不足が年々深刻化する中、地域包括ケアシステムを推進する上で、介護人材の確保、育成は不可欠であります。そのため、ICTを活用した働き方改革を促すとともに、訪問介護員としての資格がなくても本市が定めた研修を受講すれば、要支援者に生活援助サービスを提供できる基準緩和型訪問サービスを新たに導入するため、来年度は従事者を目指す方の研修を行ってまいります。加えて、介護現場における外国人材の受入れ環境整備に向けた調査研究も行ってまいります。
いずれにいたしましても、団塊の世代が75歳以上となる2025年問題の先には、団塊ジュニア世代が65歳以上となり、我が国の高齢者人口がピークとなる2040年問題という厳しい状況が控えています。
こうしたことを踏まえ、引き続き高齢者が生きがいを持ち、いつまでも健康で充実した暮らしができるよう地域包括ケアシステムのさらなる推進に取り組んでまいります。