避難所に指定されている学校体育館は、国の「緊急防災・減災事業債」いわゆる(緊防債)が活用できるようになっており、ご承知の通りこの緊防債は、返済に当たり、その元利償還金の7割が普通交付税の算定の基礎となる基準財政需要額に算入されます。
しかも、起債枠は十分に確保され、自治体の実質的な負担は3割となる非常に有利な起債であり、国からの交付金とそれほど遜色がありません。
こうしたことから、全国の各県において、緊防債を活用して県立高校の体育館に空調設備設置を求める動きも活発化してきております。
また東京都では、昨年末の都の補正予算の中で、公立小中学校体育館の空調設備を国の補助に上乗せする形で補助を決め、今年の夏までの設備稼働を目指すことを決定しております。
私自身も先日 、緊急防災・減災事業債を活用して全小中学校に空調を設置した、大阪府の箕面市を視察してきました。
箕面市では、学校体育館の空調の維持管理コスト削減の観点から、エアコンに併設する形で独自に考案された送風機を設置されており、小学校で普通教室の容積の30倍ある体育館を6教室分のエアコンでまかなえうなど、維持費抑制の工夫をされている他、夜間の大人の方の利用向けに「プリペイドカード」を導入し、1時間いくらで受益者負担をお願いしているなど、設置後のランニングコスト削減についても工夫されながら維持運用をされておりました。
また箕面市の場合は、全体育館のエアコンにLPガス仕様のGHPと非常用発電機を導入。災害時、万が一避難所で停電が発生してもエアコンが自立稼働することができる体制も整備されておりました。
この導入が完了したのが昨年3月。その後6月の大阪北部地震や9月の台風が集中した際、13の体育館が避難所となり、停電時でも稼働するエアコンが非常に役立ったとのお話を聞いてきております。
全国的に検討が広がる体育館のエアコン設置について、あらためて本市でも前向きな検討をお願いしたいと思いますが、教育委員会事務局長のお考えをお伺いします。
本市では中核市市長会が行う、「平成32年度国の施策及び予算に関する提言」に、小中学校の体育館は、児童生徒が学習・生活する場であるのみならず、震災や台風などの災害発生時には住民の命を守る避難所として重要な役割を担っている。」として、「文部科学省は体育館の空調設備に係る十分な財源措置を講じること」を盛り込むよう議案を提出したところです。一方で、議員ご紹介の大阪府箕面市のように、天井に設置した空調機の冷気を、強力な送風機で下方に送るという仕組みで、設置及び運転費用を軽減させている例もございます。このようにコスト削減に向けて先進事例を調査していくことも重要であると考えております。今後も、機会をとらえ国への要望を行つていくとともに、先進事例を研究しながら、さらには、今年度の老朽度調査の結果を基に来年度策定する、「長寿命化計画」の改築及び改修の計画も踏まえ、空調システムのより効果的かつ合理的な整備について引き続き、検討を進めてまいりたいと考えております。