3月15日に公表された岐阜市公共施設等総合管理計画については、その前段階となる岐阜市公共施設白書の検討時からも議論されておりますが、この計画は、将来の人口規模や社会情勢等に応じた公共サービスを安全かつ持続的に提供することを目的に、計画的な施設の更新、長寿命化による財政負担の軽減と施設の最適な配置を進める2本の柱の実現を目指すものと受けとめております。その上で、計画的な維持・更新、総合的な資産経営、施設総量・配置の最適化の3つの基本方針とし、計画の期間を平成29年度から10カ年と定め、方針に沿った施設の類型ごとの考察、取り組み方を示しているものであります。
そこで、今回は3つの基本方針のうち、総合的な資産経営と施設総量・配置の最適化についてお尋ねをいたします。
総合的な資産経営について
この方針の要旨として書かれているのは、公共施設等を経営資源として捉え、最大限に活用する云々とありますが、こうした活用に不可欠なのは公共施設の情報の一元的な一括の管理であり、公共施設白書作成当時から詳細な公共施設情報を掌握するにはデータの一元管理が先決であるとは、議会でも過去複数の議員が指摘されておられますし、私も御指摘をさせていただいたところであります。煩雑になりますので、私の過去の質問に絞って今回はお聞きしますが、平成25年の11月議会において、私は、公共施設白書と密接に関係するとした上で、以下、指摘をさせていただきました。
岐阜市の公有財産は、行政部が管理する公有財産管理システムにて一元管理がなされており、決算資料作成時、本来財政部の公会計システムに入力する資産データは公有財産管理システムから引っ張ってこればいいはずなのですが、現状、公会計システムには所管部署で独自管理の情報をその都度、送ってもらい入力しているようであります。いわゆる資産データの二重管理が発生しており、維持管理の上で大きな無駄が発生しているものと思われますと、こういう指摘をさせていただいた点であります。
これについて、行政部長の御答弁では、公有財産の確認作業を平成27年度末までをめどに進めるとされた上で、公有財産台帳と公会計において必要とされる情報の一元管理については、これら同一データをそれぞれ管理することは非効率であると認識しております。そのため現在進めております公有財産台帳の確認作業の完了時には、当該台帳の登録データが公会計における基礎資料として利用されるよう一元化を図ってまいりたいと考えておりますという御答弁をいただいております。行政部の公有財産管理システムで一元管理されたものと認識をしているところであります。
一方で、今回の予算案では、企画費の予算として公共施設マネジメントシステム導入ほかとして3,181万5,000円が計上されておりますが、今お話ししたとおり、公有財産については、公有財産管理システムで一元管理をするはずなのに、なぜ新たに公共施設マネジメントシステムを導入する必要があるのか疑問でありますので、以下お尋ねをしたいと思います。
財政部の資産データと行政部の公有財産管理システムは統合されているかどうか、確認のためお尋ねをいたします。
議員の御質問にございました公有財産台帳と公会計に関する資産データとの一元化に関する進捗状況でございますが、平成24年度に現在の公有財産管理システムが稼働し、庁内各課で土地及び建物の数量情報等の閲覧、更新が可能となったところでございます。しかし、一部の部署におきまして、システム上のデータと現況が一致しない案件が複数発見されたことから、確認作業を実施してきたところでございます。
また、これらを進める中で、公会計に関する資産データにつきましては類似点があるため、効率性の観点から、少なくともこの2つのシステムデータを流用できるよう検討してまいりましたが、土地・建物の面積などの数量管理を主目的とする公有財産管理システムと資産勘定を主目的とした公会計システムでは、相互のデータの持ち方が異なることが課題となり、まず事前作業として、相互の台帳間の共通基本データとなり得る公有財産台帳の確認作業を優先して進め、平成27年度末をもって完了したところでございます。このような状況の中、総務省から平成26年度に公共施設等総合管理計画の策定要請があり、計画策定に着手し、策定に必要なデータ管理が行われてきたところでございますが、計画策定後にさらなる施設情報データが必要となることから、公共施設等総合管理計画においても、システムの導入が必要となりました。このため平成27年度から、3部署が保有する情報の効率化について、データの一元化、システムの一元化などについて、関係部局とともに検討を進めてきたところでございます。
今後につきましては、公有財産管理システムは、現時点において企画部で導入を予定しております公共施設等マネジメントシステムのデータに一元化していくことが最適であると考えており、情報が二重管理されることがないようにしてまいりたいと考えております。
また、財政部の資産データにつきましては、公会計システムにおいて必要となる独自の情報があることから、公共施設等マネジメントシステムの導入に当たり、再検討されるものと考えております。
同じようなシステムが複数存在することは、入力作業を中心とした作業の非効率化となり、ひいてはコスト増につながります。今回のような公有財産については、ほとんどの部署が関係するものであることから、そのコストの増加は看過できるものではありません。これまでの経緯からいっても、データだけでも公有財産管理システムを活用すべきであると考えますが、新たに公共施設マネジメントシステムを導入する理由、意義をお聞かせください。
公共施設マネジメントシステムは、本市の保有する公共施設等を総合的に管理運営していくためのシステムを指します。従来、本市の公共施設に関する情報は、公有財産を管理する公有財産管理システム、固定資産台帳を管理する地方公会計システム等、複数のシステムで管理をされており、平成24年度の監査や平成25年11月議会の議員からの御質問等の中で、各台帳を更新する場合には、両者を統合したシステムとすることが望まれると御指摘をいただいているところであります。
こうした中、平成26年度に総務大臣から公共施設等総合管理計画の策定要請がなされ、本市も将来の公共施設等マネジメントを念頭においた総合管理計画の策定に取り組んでまいりましたが、その策定過程において、公共施設に関する情報の管理、共有のあり方についても検討を重ねてきたところであります。
情報管理の一元化の必要性は認識をしており、議員御指摘の公有財産管理システムをもととしたシステムの構築についても、本計画の策定を図る中で、関係部局で構成をいたします公有財産データに関する部会で検討してまいりましたが、新たに公共施設等マネジメントシステムを導入し、新システムにおいて情報の一元化を進めることが最も適していると結論に至ったものでございます。
新システム導入後は、順次公有財産管理システムを統合するなどし、公共施設の共通する情報が複数管理されることがないよう努めてまいります。
公共施設マネジメントシステムの位置づけがちょっと不明確ですが、本来は公有財産の詳細を掌握、分析した上で、その結果を総合管理計画に反映すべきものであり、私も公共施設白書作成当時から御指摘をさせていただいておりましたが、これからシステムを立ち上げるとその作業が逆になっているようにも見えます。詳細の掌握、分析が行われた上で、それを反映した総合管理計画となっているのか、この点についてもお尋ねをいたします。
総合管理計画の策定に当たり、詳細な分析が行われたかどうかについての御質問にお答えをいたします。
平成27年6月議会での議員の御質問でもお答えをしておりますが、計画の策定に当たっては、公共施設白書よりさらに詳細な施設データが必要であるため、全ての公共施設について、所管部署に対して調査を行いました。さきの白書で調査をいたしました19項目のデータを更新をするとともに、新たに施設の利用状況や施設の維持管理費用などについても調査をしております。本計画は、この調査により集積したデータを分析して策定をしておりますが、今後は建物の劣化度を調査するなど、別の角度からの調査分析が必要であると認識をしております。
施設総量・配置の最適化について
この総合計画作成後、この内容を実現するためにどう進めていくか、具体的な計画が記載されておりません。総務省からの指示により作成されており、この総合管理計画は指針としての色合いが濃いことは理解しますが、今後どう進めていかれるのか、とりわけ最適化、適正配置に絞ってお伺いをいたします。
最終的には、施設を所管する部署で施設ごとの個別管理計画を作成されると思われますが、その前段階で部署を横断した適正配置、最適化の検討がなされる必要があると考えます。例えば、教育委員会の施設と市民参画部の施設の新たな共用、統合といった考えが出てきてよいのではないかと思いますが、これは各部署では検討できるものではなく、本市の施設全体を俯瞰的に捉え、検討する部署もしくは工程が必要ではないかと思います。
こうした点を踏まえ、最適化の検討をどう進めていくのか、今後のタイムスケジュールを含め、企画部長にお尋ねをいたします。
公共施設の最適化、適正配置を検討する上では、議員御指摘のとおり、市の公共施設全体を俯瞰的に捉え、統括する部署が必要であると考えております。
そのため、まずは来年度、企画部内に公共施設等マネジメントを担当する職員を配置するとともに、全庁横断的な会議を組織し、公共施設等マネジメントを実施する体制を整えることとしています。
また、来年度以降、公共施設等の最適化、適正配置に必要となる公共施設の劣化度や、市民の皆様のニーズなどの調査分析、公共施設等マネジメント実施に関する統一基準の策定等を進め、将来にわたって持続可能な公共施設等を通した公共サービスを提供してまいりたいと考えております。