2017年3月議会 地域包括ケアシステムの進捗状況について

65歳以上の人口は、現在、国民の4人に1人となる3,000万人を超えており、2042年に約3,900万人でピークを迎え、その後も75歳以上の人口割合は増加し続けることが予想されています。
このような状況の中、団塊の世代の方々約800万人が75歳以上となる2025年以降は、国民の医療や介護の需要がさらに増加することが見込まれています。このため厚生労働省においては、2025年を目途に、高齢者の尊厳の保持と自立生活の支援の目的のもとで、可能な限り住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けていただくことができるよう、地域の包括的な支援、サービス提供体制、地域包括ケアシステムの構築を推進しており、本市としても、現在進行中である第6期高齢者福祉計画にその考え方を取り込み、地域包括ケアシステムの定着に向けて鋭意取り組まれているところであります。
第6期の計画期間は新年度が最終年度となりますが、同時に新年度から第7期高齢者福祉計画の策定が始まるとのことですので、この時点で、現時点での進捗状況を以下お伺いしたいと思います。

西垣
西垣

第6期の高齢者福祉計画の中で、地域包括ケアシステムの定着への取り組みとして、小規模多機能型居宅介護から看護小規模多機能型居宅介護への転換などが挙げられておりますが、これについて状況をお伺いいたします。

部長
部長

小規模多機能型居宅介護とは、通いを中心として利用者の状態や希望に応じて訪問や宿泊を組み合わせて提供するサービスであり、高齢者が住みなれた地域で適切な介護を受けながら生活するために必要な施設と考えております。これまで本市では、小規模多機能型居宅介護事業所の整備を進めており、平成28年度末で18カ所となります。
また、看護小規模多機能型居宅介護とは、小規模多機能型居宅介護の機能に加え、必要に応じて訪問看護が提供できるサービスであるため、医療ニーズが高い高齢者にとって有益なサービスとなります。しかしながら、医療ニーズが高くない方にとっては、利用料金が高いことや、要支援の方が利用できないことなど、利用対象者が限定される側面もございますので、それぞれにニーズがあるものと考えております。
なお、現在、本市に看護小規模多機能型居宅介護事業所の設置事例はございませんが、一部の小規模多機能型居宅介護事業所から御意向があり、看護小規模多機能型居宅介護事業所への転換に向けて協議をしているところでございます。

西垣
西垣

地域包括支援センターが中心となって、それぞれの地域の課題の把握や個別ケースに対応する地域ケア会議の開催が盛り込まれていますが、地域の自治会役員、民生委員、医療・介護関係者の理解を得た、どの地域でもこうした方々が参加され、格差なく行われているかどうか、この会議の成果を含めてお尋ねをいたします。

部長
部長

地域ケア会議でございますが、地域ケア会議は、地域包括支援センターが主催し、地域の自治会役員、民生委員、医療、介護等の多職種が協働して高齢者の個別課題の解決を図るとともに、介護支援専門員の自立支援に資するケアマネジメントの実践力を高める会議でございます。
本年度の会議の成果としましては、高齢者の個別事例の検討にとどまらず、認知症高齢者の徘回模擬訓練や、介護事業所が一目でわかるマップづくりなど、地域のネットワークづくりにつながった事例がございます。
なお、現在は18カ所全ての地域包括支援センターで地域ケア会議が開催されておりますが、地域によっては多職種の連携が十分とは言えませんので、各地域での会議が一層充実するよう先進事例を紹介しながら指導、助言を行い、会議の充実に努めてまいりたいと考えております。

西垣
西垣

地域包括ケアシステムの構築を推進するために、介護保険法に基づく介護サービス情報公表制度があります。これまでの介護サービス事業所情報のほかに、地域包括支援センターや生活支援サービスの情報についても発信していくとありますが、こうした情報の公表及び活用状況についてお伺いをいたします。

部長
部長

介護サービス情報の公表制度は、国が運用している介護サービス情報公表システムを利用して、介護サービス事業所の情報のほかに、地域包括支援センターや生活支援サービスに関する情報をインターネットで検索できる仕組みです。現在は地域包括支援センターの情報を公表しておりますが、新年度からは生活支援サービスについても、利用者が比較検討し、適切に選ぶことができるよう順次公表してまいります。

西垣
西垣

平成27年度に法改正された地域包括ケアシステム構築の重点化と効率化のため、全国一律だった予防給付を市区町村が取り組む地域支援事業に移行させることとなった、いわゆる新しい総合事業についてであります。
この中で、本市は、通所型サービスBとなる住民主体型デイサービスをNPO法人やボランティア団体の力を活用し形成していくとされておりますが、サービスを開始する以上は、一定の期間、定期的なサービス提供が必須として求められることから、できる人ができるときだけお手伝いするといった活動が主となるボランティア団体が参入するにはハードルが高いのではないかという意見もいただいております。例えば、毎週は無理だが隔週なら協力できるといった団体があった場合、ほかの協力も仰ぎ、複数の団体で1つのサービスを実現するといった手法が好ましいのではないかとも思います。そのためには、複数の団体間を調整するコーディネーターが必要だとも考えますが、こうした団体が参入するためにハードルを下げる仕組みについて、新しい総合事業への移行状況も含め、お尋ねをいたします。

部長
部長

住民主体型デイサービスについて、条件を見直してはどうかということですが、介護予防の訪問介護、通所介護は、平成28年度までに、いわゆる新しい総合事業に移行する必要があったことから、住民ボランティアやNPO法人などによる地域での見守り・助け合い体制づくりや、地域で気軽に集える場などの介護保険制度外で実施できる受け皿づくりを進めてまいりました。
本年度は、市の独自基準による住民主体型デイサービス事業を立ち上げましたが、地域の集いの場として実績のある1団体のみの申請であったことから、申請に至らなかった団体にヒアリングを実施したところ、介護予防の視点は理解できるが、毎週継続的な開催をすることは困難であるなどの御意見をいただきました。そのため現在、NPO法人やボランティア団体が住民主体型デイサービスの事業主体として積極的に参加していただけるよう、一月当たりの開催回数を少なくするなど条件緩和の見直しを進めており、複数の団体と申請に向けた協議を行っております。
また、議員御指摘のコーディネートにつきましては、新年度から新たに配置する支え合いの仕組みづくり推進員である生活支援コーディネーターが地域のニーズと住民ボランティア等の団体が提供するサービスをマッチングさせるよう、その役割を果たしてまいります。