2018年3月議会 地域包括ケアシステムにおける医療と介護の連携について

福祉部における医療と介護の連携について

西垣
西垣

地域包括ケアシステムについて、現在の進捗状況を含め今後の取り組み方について福祉部長にお伺いします。
「2025年問題」解決のために、2018年度は、実質最後といえる診療報酬と介護報酬の同時改定の年であり、今回が医療と介護の一体改革における地域包括ケアシステム推進のターニングポイントになる年であるとも言われております。介護報酬改定の軸をみてみましても、ターミナルケアや看取りの評価、訪問看護などが加算アップの対象となっているなど介護と医療の連携をより一層推し進める内容となっておりますが、これを受けて岐阜市の地域包括ケアシステムの今後の推進計画とこれまでの成果について、間もなく発表される第7期高齢者福祉計画の内容とあわせて、今後の取り組み方について福祉部長にお伺いします。

第6期高齢者福祉計画の成果について

部長
部長

『第6期高齢者福祉計画』の成果についてでございます。
本市におきましては、『第6期高齢者福祉計画』から「在宅医療・介護の連携推進」を地域包括ケアシステムの推進を図る重点課題の1っとして位置付け、利用者への在宅医療と介護サービスの一体的な提供に向けて、岐阜市
医師会や岐阜市介護支援専門員連絡協議会などを初めとする、医療や介護の関係者相互の連携を順次進めているところでございます。
具体的には、市民が在宅医療や介護サービスについて理解し、在宅で、の療養が必要になった時に、必要なサービスが選択できるようにするため、在宅医療や介護サービスの利用方法について記載した、市民向けパンフレツトの作成や、岐阜市医師会の取り組みにより、地域の医療や介護資源の把握のため、各地域包括支援センターのエリアごとに作成した「医療・介護・福祉早わかりマップムさらには、職種聞の相互理解やネットワークの強化を目的に、平成24年度以降、医療や介護関係者によるグループワーク等を活用した研修会を開催していただき、これまでに延べ約900人の参加をいただいております。

第7期高齢者福祉計画の取り組みについて

部長
部長

一昨年11月に実施しました高齢者等実態調査におきまして、これからの生活をどこで送りたし、かをお尋ねしたところ、これまでの調査結果と同様、多くの方が自宅での生活を望んでいらっしゃる状況を把握しております。
このことから、『第7期高齢者福祉計画』におきましては、高度急性期の医療から在宅医療・介護まで、一連のサービスが適切に確保できる体制を整備するため、医療・介護などの関係機関と協議を進め、「在宅医療・介護
連携推進事業」の施策を進めることに意を用い、計画を策定したところでございます。
主なものとしましては、それぞれの専門職や関係機関で、お互いの業務の現状、専門性の役割などの認識を共有し、忌憚のない意見を交換する関係を築くため、関係機関の連携調整や支援を行う「在宅医療・介護連携サポートセンター」を設置し、医療と介護の連携体制の強化を図ってまいります。
また、『第7期高齢者福祉計画』からは、「岐阜県保健医療計画」 の作成・見直しとサイクルが一致するため、この保健医療計画との整合性を図ることがこれまで以上に求められます。
特に、2025年に向け病床の機能分化・連携に伴って生じる、介護施設・在宅医療等の追加的需要分について、保健医療計画における在宅医療の整備目標と高齢者福祉計画における介護施設等の整備目標との整合を図る必要がございます。
そのため、『第7期高齢者福祉計画』においては、その必要数を盛り込み、ハード面からも市民が安心して今後の在宅生活を過ごすことができるよう、計画策定を行ったところでございます。
さらには、今後、重度要介護者や医療の必要性が高い高齢者が増えていくことが考えられることから、医療ニーズを踏まえた適切なアセスメントや、ケアマネジメントを行う際の医療との連携がますます重要となります。
こうしたことから、例えば、医療機関に入院した介護サービス利用者が退院後に安心して在宅生活に移行するためには、入退院時に、その橋渡し役となる介護支援専門員、いわゆるケアマネジャーが深く関与し、医療機関と連携を図ることが、より重要となってまいります。
したがいまして、ケアマネジャーによる入退院時の医療機関との連携はもちろん、利用者が医療系サービスを希望している場合に、ケアマネジャーが主治医の意見を聴取することや情報提供いただくなど、平時からの医療機関との連携なども一層、推進したいと考えております。

平成30年度診療報酬改定について

西垣
西垣

今回の2018年度診療報酬改定について市民病院長にお伺いをします。
冒頭申し上げましたとおり、介護と医療の一体改革を行う6年に1度のタイミングでもありますので、診療報酬改定についても介護施設との連携を進める内容となっていおり、「かかりつけ医機能」を担う医療機関では初診時に算定できる加算が創設されるなど、在宅医療が評価される一方、入院基本料の再編とともに算定基準が上がり、大病院に厳しい改定内容になったとの声も聞かれます。
今回の診療報酬改定に伴い岐阜市民病院としてどのような影響が出て、どのような体制に変革されているのかをお伺いします。
あわせて、今回の医療と介護の連携を進めるという観点から岐阜市民病院がどのような役割を果たしていかれるのかについてお伺いします。

診療報酬改定の影響について

市民病院長
市民病院長

今回の診療報酬改定の影響でございますが、当院にかかる主なものとしましては、入院基本料の基準変更があります。入院基本料は、看護師の配置割合と重症患者の割合によって決まり、その割合が高いほど、評価される仕組みになっています。この重症患者の割合が25%から30%に引き上げられ、多くの救急患者や重症患者を積極的に受け入れている病院を、より高く評価する方向性が明確に示されました。
当院の入院病棟は重症患者が多く入手が必要なため、看護師1人に対して患者が7人という7対1看護体制をとっており、質の高い医療・看護を提供しておりますが、重症患者割合は引き続き30%以上が見込まれることから、今回の診療報酬改定後も7対1看護体制を維持できるものと認識しております。
なお、平成28年7月に策定されました岐阜県地域医療構想におきましでも、当院は、岐阜圏域の急性期医療の中心的役割を担うとされています。今後さらに医療機能の分化が進むことで役割が明確になり、今まで以上に、救急患者、重症患者の受け入れが求められることから、地域の医療ニーズに則し、施設整備、医療機器の充実、医療従事者の確保・育成を行い、高度急性期及び急性期医療を維持していくことが必要だと考えております。

医療と介護の連携推進における市民病院の役割について

市民病院長
市民病院長

医療と介護の連携推進における当院の役割についてでございます。
どこに住んでいても適切な医療・介護を安心して受けられる社会をめざす地域包括ケアシステムの構築は、冒頭でも申し上げましたとおり、今回の診療報酬改定の基本方針の第ーにあげられております。地域包括ケアシステムにおいて当院は、自宅・施設等で生活している方々が、身体機能が低下し、検査や手術など入院が必要となった時にかかる、高度で専門的な医療を提供する病院という役割を担っております。
これまでも、平成19年2月に県内初の地域医療支援病院として承認を受け、地域の病院・診療所との連携強化に取り組んでおります。入院患者さんのかかりつけ医が当院を訪問し、当院の医師と共同して治療を行う開放型病床の設置や、高額医療機器の共同利用を行っており、地域がん診療連携拠点病院としても平成17年1月から継続して指定を受け、高精度放射線治療装置やPET-C Tを整備しつつ、地域のかかりつけ医の先生方に、ご利用いただいているところであります。
一方で、患者さんにとっては、医療も介護も一連の流れであって切り離して考えることはできません。今回の同時改定では、医療から在宅・介護へいかに繋ぐかが意識されており、そのーっとして入院する前から退院後の生活を考えて支援する取り組みが新たに創設されます。患者さんは、病院での治療を終えると在宅あるいは他施設へ移りますが、介護が必要な方は入院が決まった時点で、ケアマネージャーに相談する等、できる限り早く関わることで本人や家族が退院後の生活を具体的にイメージでき、安心して入院生活を送ることができます。
また、介護報酬改定におきましでも、ケアマネージャーが医療機関の退院支援会議に参加するなど積極的に連携することで、より報酬上の評価が高まるようになっております。これらにより退院先の施設やケアマネージャーは、栄養状態の把握や必要なリハビリの内容など、患者情報が早く共有でき、医療と介護の切れ目のない支援が可能となります。当院におきましでもこのような支援が重要であることから、入退院支援センターの創設に向けて昨年から準備を進めているところであります。
当院においても高齢患者の割合が高まっております。今後は、医療の一環としての歩くことや食べること等、退院後の生活を視野に入れた取り組みにも力を入れていくことが必要となります。