金沢市の連携中枢都市圏ビジョンを視察して
岐阜市を中心とした連携中枢都市圏についてであります。 本市では、ことし6月8日に人口減少、少子・高齢化に対応するため、近隣市町と連携して、地域活性化策や行政サービスを推進する連携中枢都市圏の中心市となる方針を明らかにし、6月30日には連携中枢都市宣言書を発表いたしました。 連携中枢都市圏とは、国が2014年に創設、東京、名古屋、大阪の3大都市圏以外で複数の市町村が協約を結び、医療、教育の充実や産業育成、観光振興などに取り組み、圏域内で質の高い行政サービスや働き口を確保することで人口流出を防ぎ、それに対応する措置として、国は地方交付税で財政支援を行うもので、全国では23の都市圏が形成されており、東海地方では初めての取り組みとお聞きしております。
この構想には、山県市、瑞穂市、本巣市、岐南町、笠松町、北方町の3市3町が参加の意向を表明され、今議会に連携協約の議案が提出されているところでありますが、構想の推進に当たっては、本市の果たす役割、責任は大きいと考え、昨日も質問で取り上げられておりましたけれども、私も改めて取り上げさせていただきたいと思います。
質問をするに当たり、昨日の質問者同様、私も連携中枢都市圏ビジョンを策定、推進されておられる金沢市を視察させていただきました。
金沢市では、石川中央都市圏と銘打ち、金沢市、白山市、かほく市、野々市市、津幡町、内灘町の4市2町が参加、圏域全体の人口が72万人余りの圏域が連携して、多くの行政サービスの向上に取り組まれておられました。
その中で、注目すべきだったのが、4市2町の圏域が大小のテーマを持って連携されていることでありました。石川中央都市圏でも本市と同じく、福祉、医療、教育、スポーツ、産業、交通といったそれぞれの分野で連携を検討、実行されているのですが、連携のもととなる協定は、岐阜市でいえば、中心となる岐阜市と参加する3市3町の1対1の協定であり、3市3町間の協定はありません。それを補う意味で、横の連携がしやすいよう、圏域全体の特徴をテーマとして推進をされていました。
具体的に申し上げますと、石川中央都市圏では、北陸新幹線金沢駅開業を契機に、圏域全体がその受け入れ拠点となるとの大きなテーマのもと、圏域内で13にもなる大学を中心とした高等教育機関の存在を特徴としてアピール、その学生らとともに圏域全体に広がる歴史的な町並みや伝統文化、豊かな自然をテーマに連携を実施しており、中心となる金沢市だけでなく、こうしたテーマで横の連携も広がるような工夫がなされておりました。
こうした特徴やテーマは、連携を強固にするだけにとどまらず、中枢都市圏を内外に発信していく上でも非常に重要だと考えます。本市を中心とした岐阜連携都市圏について、参加する圏域全体の特徴を見出しながら連携強化、さらには集客、人口流入のためのアピールポイントにしていくべきだと考えますが、この点を中心に岐阜連携都市圏の具体的な内容、進め方について企画部長にお尋ねをいたします。
今議会で提案をしております連携協約は、地方公共団体同士が連携して事務を処理するに当たっての基本的な方針及び役割分担を定めるものであり、10年先、20年先を見据えた中・長期的な視点から、さきの3つの役割を果たすため、産業、観光、医療、子育てなどさまざまな分野において、行政全般にわたる包括的な内容とし、参加意向の3市3町との安定的な連携の土台となるものとしております。
そして、連携協約に基づく連携中枢都市圏の連携事業の検討に当たりましては、圏域全体で行政サービスの維持向上を図り、未来に向けて活力を生み出していくことが重要な視点になってまいります。
議員御訪問の先行都市圏における連携のテーマは、各圏域の歴史的、文化的背景や圏域が置かれている状況、課題を連携のポイントとして説明されたものと推測をしておりますが、岐阜市を中心とする連携中枢都市圏においても、これまでのつながりや岐阜市と各市町の特徴を活用することで、アピールポイントとしていくことが必要だと考えております。
現在、連携中枢都市圏ビジョンの策定に向けて産業活性化や住民サービス向上に深くかかわる産業、福祉、教育など7つの分野のほか、連携を想定する事業ごとに参加意向の3市3町と岐阜市からも課題を提起し、事業内容について協議、調整を始めているところであります。
今後、現在想定している連携事業の検討をさらに進める中で、例えば、産業の分野では、中小企業が人材の確保に苦しむ中で、企業の大学卒業者等の人材確保の共同支援や産官学連携による新産業創出を広域的に展開するなど、産業にかかわる将来と今の課題に連携して取り組むことが重要になってまいります。
また、教育の分野では、岐阜市の特徴的な教育施策と各市町の取り組みを生かしつつ、圏域全体として教育環境向上を図ることが若い世代をこの圏域に呼び込み、とどめるために重要になってまいります。
こうした岐阜市の考えを示しながら、各市町との協議を通じて、互いの共通理解のもと、岐阜市と各市町の特徴をともに生かした連携事業を検討し、この圏域固有の、圏域全体が活性化するような連携中枢都市圏ビジョンを策定してまいりたいと考えております。
また、このビジョンは、策定後も各市町との協議を通じ、改定をしていく中で進化していくものと考えております。